さよなら、オレンジの空
今の私があるのは、ある意味5年前に出会ったある人のおかげかもしれない。



小学生の頃から活発でサッカーを習っていた私は、女っ気がなく、髪はショートカットで男の子と間違えられる程だった。


同じサッカークラブに通う男子とは毎日のように殴り合いの喧嘩をし、毎日のように怒られていた。


大して勉強が出来るわけではなく、中学受験などをすることもなく、地元の中学へと進学した。部活は休みが多いという理由だけで卓球部に所属した。


怪我のせいもあり、中学入学と共にサッカーを辞め、髪も伸ばし始めた。少しずつ女の子になっていった。


そしてその頃、1人の少年と出会った。彼は学級委員長をしていて、吹奏楽に所属する少し変わった子だった。


同じクラスだったこともあり、友達を通じて仲良くなった。


彼から告白を受けたときは正直実感が湧かなかった。私がそういった色恋沙汰から離れた生活をしていたせいだろうか。


その日はそれまでにないくらいの高熱が出ていたにも関わらず、自室のベッドの中で朝まで彼のことを考えた。


次の日、私たちは校外学習のためバスに乗っていた。


バスに揺られながら聞こえてくるのはみんなの恋愛話、当然のように彼も周囲の人と話をしているようだった。


昨日、彼が私に告白したことがバレるまでに時間は必要なかった。


突然静まり返ったバスの中で、彼から名前を呼ばれ、返事を聞かれた。その瞬間、わたしには初めての彼氏が出来た。


その頃の私はいつも楽しそうにしていたと自分でも思う。だが、そんな幸せが長く続くことはなかった。
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