オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~

それだけ気持ちが弱っている証拠だ。

一慶は上着を脱ぎ、震える美紅に着させた。


「ケガは? 大丈夫なのか?」
「足をちょっと……」


遠慮がちに美紅が出してきた足をたしかめる。傷はないようだが、足首を持つと痛みを感じるらしい。


「捻ったみたいだな。いくつになっても危なっかしいのは変わらないんだからな」


元気づけようと冗談めかして笑い飛ばしたが、美紅はまたもや反撃に転じようとしない。


「だから、おねえちゃんに敵わないんだよね」
「佐和子? どうしてここで佐和子が出てくるんだよ」
「だって、いっくん……おねえちゃんを好きでしょ?」


不可解なことを言いはじめた美紅の顔を覗き込む。


「……誰が佐和子を好きだって?」


いったいなんの話だ。
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