虹の彼方へ~幸せの再会~
「以前、日比谷さんにご迷惑をお掛けした後、反省させる為にもう一度留学させたんです。楽しく生活していた様で、日比谷さんへの思いも諦めたんだと思っていました。1年前に帰国して、普通に実家暮らしをしていたんです。ところが数日前から急に様子が可笑しくなりまして、きっと日比谷さんの結婚発表を目にしたんだと思います。『蓮』と日比谷さんの名前を言うことが数回あって警戒していた矢先、家内から日菜子がいなくなったと連絡があり、慌てて捜していたんです。本当に申し訳ありません」

と日向社長と運転手は深く頭を下げる。

「日向さん、貴方は日比谷の発表をご覧になりましたか?」

「はい」

「数年前、娘さんの勝手な行動で、ここまで日比谷が苦労してきたんです。もちろん全部が娘さんのせいではありませんが、きっかけは間違いなく娘さんだと私は思っている。あの時、私が日向さんにもっと強く言っていればと、何度後悔した事か。今度こそ、幸せにしてやりたいんだ。だから中途半端では困る」

「わかっています。私達が娘を甘やかしてしまった為に、人様の人生まで変えてしまった。あの出来事の時から可笑しかったのに、留学という甘い逃げ道を作ってしまいました。娘は、心神喪失状態だと認め、東京から離れた専門的な病院に入院させ治療します」








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