暁の夕暮れ ~春の章~
『───君の傍にずっといる…ってこと、だよ』
「じょ、冗談ですよ、ね…?」
「いんや、冗談じゃあない。信じたくなかったら、信じなければいいじゃない」
「し、信じるもなにも…」
私の頭には、さっき言われた言葉が反響していた。
菜央さん、本気なんだ…
「……ね、ことね、ことね!」
「へっ、あ、はい!」
「どうしたの、大丈夫?ぼーっとしてたけど」
「大丈夫です」
「熱はない?」
そう言いつつ私の額に触れる。
「っ!やっ、やめて…ください」
「あ…ごめんね」
その声は、寂しげな色をはらんでいた。