公開告白される君と3日間の旅 ~夏休みは境界

アートの島



「瀬戸内の島はねぇ、 昔から
本土からの伝統文化を脈々受け継ぐ事で、島独自の文化が生まれたのが、面白いですよぉ。」

言いながら、
目の前のゲストを
魅了する 人懐っこさをみせ、
デッキで
談笑している。

「日本の元風景、景勝地、そして
国の辿ってきた歴史のシーンさえもぉ
数多く 内包し残るってところが
また、島を旅行する醍醐味で
しょうねぇ。」

『クルーズギャラリー』を
芸術祭期間中に開いている、
ハジメの影は、
穏やかな 内海の上にある。

船は1つ目の島を出て、
次の島へと航路を進める。
さっきの島で、ゲストを2組
クルー船に迎えたところ
でもある。

瀬戸内は、

年間の 降水量が 少なく、
温暖な気候 が、地中海。

国内 だけじゃない。
海外からの観光客は、
訪日 観光ブームに
乗って 増加の傾向に あった。

とくに瀬戸内で 行われる
トリエンナーレは、100万人を
超える来場数。
経済効果は 180億円といわれる。

国内より、欧米の高級リゾート
ホテル誌に 多く載せられる。
そのため、クルーザーごと訪れる
富裕 外国人客が 増えていた。

今年はぁ 変わったヨットなんか
も来てたねぇ。

ただ、

「さすがに 今回は~、世界的な
新型ウィルスの流行が、あったもんですからねぇ、いくら 島とは
いえ、芸術祭の開催も 危ぶまれ
ましたよぉ。」

ハジメと 並んで、
船のデッキに佇む客影も、
韓国からのゲストだ。

一見、顧客リストを見るだけ
だとぉ、まるで欧米人かと
思うけどねぇん~。

彼の国は、成人すると西洋改名に
する事が出来るの忘れてたよ~。
今回は 常連さまの、紹介だった
から、初お目見えなんだよねん。


『マイケル』って
超アジア顔の レディの名前
だって言われても~、
ややこしいよぉ。
中学英語の教科書で会った、
マイケルって、思っちゃうよねぇ。

あと1組のセレブ男性もぉ、
紹介されたけど、お初なんだよ~。

瀬戸内の芸術祭の淵源は、
児童通信教育の大手企業が、
1980年代後半に、美術館やホテル。キャンプ場の 複合施設としてアート活動をした「文化村」だといえます。」

ああ、
スタッフの ヨミ君が、
その海外からの ゲストに、
開催中の 芸術祭について、
説明をはじめる。

お相手は、
さすが~ 流暢に こちらの
言葉を 話している だけあって、
地域性の高いトリエンナーレに
ずいぶんと 興味がある
みたいだねん~。

にしても、
ヨミ君、ちょっと 硬いよねぇ。

ハジメは、ゆっくりと 進む船からの光景を 流して見ていく。

午前中の海は、太陽が反射して
輝く中に、船影が いくつもある。

この当たりは 内海 独特の
小型漁船も 多いんだよねぇ。
まるで、アジアの海かと思っちゃうなあ。

白い 帆掛け船で
底引き漁をしてるんだって。
マリンスポーツ界隈で いう、
瀬戸内の 暴走底引き漁船?。
どーゆー事かなあ、こわいなあ。

形は 伝統漁船
「芸州流し」「うたせ船」だよ
ねえ、確か 芸州は広島?。


今は あの船、
『バリバリのえげつないエンジン』と魚群レーダーもってるんだってぇ。シオン君が教えてくれたんだよぉ。
なに?どうして そんな事
知ってるんだろう、シオン君は。

あ、しまった横道に思考が~。

「戦後の旅行ブーム期、まず
島の南端地区を観光地に、財閥
観光業を誘致し、キャンプ場を
オープンさせた歴史から、始まりまして、、。」

うん、そうだねぇ。聞いた事
あるよん。

当時、
岡山の港から 続々と島には、
観光客が 押し寄せて~、
ジュースとか 土産売りで、
子ども達が 優に
小遣い稼ぎができる
ほどのフィーバーぶりだった。

けど、
石油ショックの打撃!
財閥観光は すぐに撤退した。

こーゆー事が いろんな観光地で、
たくさん起きたらしい。


「1980年代に開設された
『文化村』は、最新建築の 研修所や、グランピングの礎 となるような、モンゴルのゲル方式の キャンプ場や滞在型美術館が 柱でした。
ちょうど インターネット黎明期の
情報発信で 旅行好きな 世代や、
海外ゲストに 着目されます。
当初の課題 だった島民理解も、
住民の参加という法で、アートが島に来ることのへの門を開きました。」

なぜか 懐かしいなあって~、
思うけど。
そうかあ、1995年の阪神大震災。

ボランティア元年て言われる。


自然災害と 向きあったとき
芸術が できる事が あるのか?

ボランタリーの 芽生えが 起きて
アートの 社会的役割が より
問われるようになった。

そして、2001年
芸術祭の前身
『島スタンダード』開催。

島の風景、
何百年も 暮らす家屋、
床屋や 診療所、
卓球場といった
場所をつかった

歴史に対峙 するような作品が、
集まった。

自分と 何かとの
関係を考える。そんな、
コンテンポラリーアート祭
となった。

ここに
瀬戸内で行われるトリエンナーレの始まりがあり、
今の 瀬戸内の島観光の
分岐点が 出来上がる。

ハジメは、揺れる船影を
目に捕らえながら

過去と今を旅する気持ちを覚えた。

島は どうしてこんなに~、
気持ちの奥深くを
振るわすような、空気があるんだろうねぇ。

何かと 対峙する 予感が、
この夏も あるなあ。
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