ねぇ、好き。

あんたが、傷ついたような顔してるように見える。

「こんなふうに思ったのは、初めてなの。」

「…っ、本気で……好きなんだね。」

コクリと頷いた。

「ねぇ、誰なの? その人。言いたくないなら言わなくていいけど、初恋の人の恋の応援はしたいから。」

『初恋の人』…?

本当に私のことが好きなんだって思ってもいいの?

勘違いしてもいい?

「…今、目の前にいる人。」

「……は…?」

「あんただよ。橋田洋介。あんた。こんなふうに思ったのは、あんたが全部、初めてだよ。」

『あんた』なんて、言い方が悪い。

わかってるんだけどね。

つい、そう呼んじゃった。恥ずかしくて。

ぎゅ……っ

温かい。

今私は、好きな人に抱きしめられている。

この温もりが、いつか、大好きになりそう。
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