異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
そのこむぎが、今、私の目の前にいる。しかも、元気だった頃の姿で。 

「悠里ちゃん。悠里ちゃんが頑張ってる姿、僕、ずっと見てたよ」

不意打ちの言葉に、涙が滲んでくる。誰かに認めて欲しかった。私は頑張ってるんだって。私は悪くないんだって。

「でも、悠里ちゃん。最近、辛そうな顔ばかりしてる」

一粒溢れた涙が引き金となって、両目から次々と溢れ出してくる。

「悠里ちゃん。この世界はもう嫌になっちゃった?」

こむぎの真っ黒で優しい瞳を見つめながら、ゆっくりと頷いた。

「じゃあ、僕が連れて行ってあげるよ」

こむぎがそう言った途端、辺りは光に包まれた。あまりの眩しさに思わず目を閉じていたら、そのまま意識を手放していた。






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