異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
その日の午後、近況を聞くためにユーリの元を訪れた。

「調理場はどうだ?」

「皆さん、すごくよくしてくれますし、働かせてもらえて充実しています」

不安一色だったユーリだが、実に明るい表情になったものだ。その変化にホッとする。自分としては、ユーリが異世界から来たなんて、あり得ないながらに信じ始めている。

そして、ユーリが信頼できる人物だということも、ますます確信を深めている。

ここ数日、彼女の姿を間近で見ていた者なら、誰もがそう思うはずだ。ユーリは目覚めてからただひたすら、この環境に慣れなければと必死にもがいて、ここにいていい理由を探してきた。

「ヒューバートから、ユーリの働きぶりは聞いている。頑張っているようだな」

「はい。楽しく働いています」

「この後なんだが、少しだけ城内を案内しようと思う」

「いいんですか?」

「ああ。仕事を得たとはいえ、さすがに長時間、することもなく部屋に詰めているのでは退屈だろう?今後は、ライラを伴って庭へ出るぐらいの外出ならしてもよいと、ルイス様の許可が出ている」

「ありがとうございます」

途端にユーリが嬉しそうな顔をした。

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