異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「それから二つ目。敵の剣を払い落とした後であっても、ここでは敵に背を向けてはいけない。それは命取りになりかねない」

「背……ですか……」

ハッとした。私のやっているのは、あくまで剣道だ。けれどこの騎士達は、いざとなったら本当に命をかけた戦いをするのだ。なにも攻撃は剣を使ったものだけじゃない。

「わかるか?」

「その通りですね、私のいた国では、誰かに命を狙われるなんてこと、日常ではなかったので」

「が、しかし、ユーリの腕が立つことはよくわかった。明日からも参加するか?」

「いいんですか?」

「いいもなにも、見てみろ。ユーリと手合わせしたい奴らばかりだぞ」

そう言われて辺りを見回すと、騎士達は息を吹き返したかのように活気付いて、こちらを窺い見ている。

「ジョナス、異論はないな」

「はい」

さっきまでの疑わしげな表情は、なりを潜めている。よかった。認めてくれたようだ。

「それでは明日、ライラと一緒に来るように」

竹刀ではないものの、久しぶりに剣を手にして、私の気持ちはかなり上向きになっていた。


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