そしてまた、桜はさきほこる

4節 ずっと好きだったから

そして、先輩の卒業の日・・・。


一年を通し様々な色や形に姿を変えてきた桜の木々も、再び鮮やかなピンク色に染め上がる。春の涼しげな風に乗せて、桜の花びらがひらひらと舞う。


そして、少年少女の新たな旅立ちを応援するかのように、黒い制服に色を添える。


先輩は最後までかっこよかった。卒業式での生徒会長の言葉も、一言一句覚えている。


それくらい、先輩のことが大好きだ。そんな先輩も今日で卒業してしまう。


「さき、花束渡しに行くんでしょ」


「うん、行ってくる」


だから、悔いは残さない。必ず想いを伝えなきゃ。
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