そしてまた、桜はさきほこる

4節 あなたの名前は・・・

あの日からずっと、俺は落ち着かない日々を送っていた。


あの時体育館で見た彼女の姿が頭から離れない。半信半疑だった感情も確信に変わっていた。


それは、夏休みが明け、学校が再開しても消えることはなかった。


もしかしたら、どこかのタイミングで会えるかもしれないと、心の中で声がする。


その言葉に期待して、そして失望する。そんな毎日だった。


・・・だから、こんなことが起こってしまうのだ。


「ネクタイ忘れた・・・」


生徒会長ともあろうものがネクタイを忘れるなんて、あってはならない。


今朝は、珍しく寝坊したせいで、まともに準備する時間がなかった。学ランを羽織ったところで、満足してしまったのだ。


毎日お決まりのチーズトーストも食べ損ねたし・・・。


ついてない。


今日はとことんついてない日に違いない。
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