そしてまた、桜はさきほこる
達也がいつものお茶らけた調子で話しかけてくる。


さすがにその奇妙な陰口は気になったが、俺の胸に引っかかっているのはそのことではない。


一つこのまま終わらせちゃいけないものがある。


時刻は午後四時。


オレンジ色の西日が力強く差し込んでいる。


まだ間に合う。


俺は、制服の袖で涙を拭きとると、ちらほらと人が残る教室を後にした。



どこだ・・・どこにいるんだ。


必死になってあの子を探す。


俺の気持ちを伝えてしまったら、俺が遠くに行くことを伝えてしまったら、あの子を悲しませることになる。


そんなことはわかっている。
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