羽を失くした天使 ~祐一の場合
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梅雨が明けた途端に ギラギラ照付ける太陽。

車を降りると 額に手を翳し 顔をしかめた。


現場で 働く人にとって キツい季節。

近年の猛暑は 半端じゃないから。

健康管理に 気をつけてあげないと…


そんなことを 考えながら 

俺は 大友建設の 事務所に向かった。


「お疲れ様です。暑くなりましたね。」

事務所には 女社長が1人で 奥の席に 座っていた。

数年前から 父親に代わって 会社を仕切っている。


「あら。進藤君。どうしたの?土曜なのに。」

母親に近い年齢の 社長は 俺に 気軽に声をかける。


「はい。先日の工程変更の件で ご迷惑をかけたので。今日は 社長に お詫びに伺いました。」

俺は 社長の席まで 進んで 

持参した 菓子折りを 差し出す。


「そんな。気を使わなくて いいのに。それより 進藤君。相当 文句言われたでしょう?ウチの社員達に。」

「いえ。当然のことですから。無理言っているのは ウチの方なので。」

「現場の人間は 口は悪いけど。根は 優しいからさ。キツいこと言われても 気にしないでね。」


社長は 立ち上がると コーヒーを注いで

俺に ソファを勧めた。


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