電話のあなたは存じておりません!
カウンターから程なく離れた場所に来客スペースを設けてあるので、お客様が座るのを確認してから一礼を残し、由佳が再び戻って来る。
「てかさぁ、クルスさんって、あの来栖商事の?」
「……え?」
来栖商事と聞いて最初に思い浮かぶのは、元カレの和希の顔だ。
「あ、いや。そういう大規模な人じゃ無いと思うけど」
動揺した自分をひた隠しに私は作り笑いで誤魔化した。
「そうなの?」と首を傾げて聞き、由佳は「ふぅん」と顎を持ち上げた。
「まぁ、それはともかくさっ。また男友達に連絡とって合コン開くから、朱音もじゃんじゃん参加しなよ? 来栖商事は和希さんがいるから嫌かもしれないけど、大手だからエリート揃いだし。イケメンも豊富だよ〜?」
ウキウキしながら由佳がうふふと笑う。
ーー合コンかぁ。今はとてもそんな気分になれない。
「溜め息は駄目だよー、朱音ちゃん。これ以上幸せ逃したら勿体ないし」
由佳の隣りで沙奈江も励ましてくれる。
「うん、そうだよね」
私は顔を上げて、ヨシと握り拳を作った。
「てかさぁ、クルスさんって、あの来栖商事の?」
「……え?」
来栖商事と聞いて最初に思い浮かぶのは、元カレの和希の顔だ。
「あ、いや。そういう大規模な人じゃ無いと思うけど」
動揺した自分をひた隠しに私は作り笑いで誤魔化した。
「そうなの?」と首を傾げて聞き、由佳は「ふぅん」と顎を持ち上げた。
「まぁ、それはともかくさっ。また男友達に連絡とって合コン開くから、朱音もじゃんじゃん参加しなよ? 来栖商事は和希さんがいるから嫌かもしれないけど、大手だからエリート揃いだし。イケメンも豊富だよ〜?」
ウキウキしながら由佳がうふふと笑う。
ーー合コンかぁ。今はとてもそんな気分になれない。
「溜め息は駄目だよー、朱音ちゃん。これ以上幸せ逃したら勿体ないし」
由佳の隣りで沙奈江も励ましてくれる。
「うん、そうだよね」
私は顔を上げて、ヨシと握り拳を作った。