続・電話のあなたは存じておりません!
『こういう三つの内容を、それぞれの匿名アカウントで、尚且つ時間差で書き込んだんだよ。
 あとは、リアルの友達関係を修復するだけ。
大丈夫、芹澤さんならできるよ?』

 メガちゃん先生は、黒縁メガネの奥に微笑をたたえて言った。


 **


「これが………。或叶さん」

 日記の文章から過去を思い出し、私は彼の人となりを少しだけ理解した気がした。

 来栖商事の副社長としてスマートで優しくて、私にとことん甘い彼しか知らなかっただけに、これは大きな収穫だと思った。

 その後の日付けの日記から、私が好きな音楽の話をしたという内容が書いてあった。

 それにしても、と思う。

 メガちゃん先生、イコール、或叶さんが実習生として高校に来たのはたった三週間だけど。

 何で私は彼を忘れていたんだろう?

 裏掲示板の件に関しても、或叶さんが早くに手を打ってくれたからあれ以上の炎上が防げた。

 ネットでの誹謗中傷が無くなってからは、友達関係もそれほど悪くなく、淡々と日々を過ごせたはずだ。

 男の子から告白される事はあったけど、だからと言って周りから無視をされる事はなくなった。

 どうして忘れていたんだろう……?

 そう考えて、ハァと重いため息がもれた。
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