じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~

後ろから聞こえる自転車のタイヤが回る音。

ギアの付いた自転車からは小さな゛カチカチ゛という音が聞こえる。


先輩の自転車もこんな音がしてたなぁ…。

そう思った瞬間。


『そんなに急いでどうしたの?』


後ろから聞こえていた自転車の主は、まさかの水谷先輩だった。


(恥ずかしい!必死になってすごい早さで自転車をこいでたの、見られた?)



『あ、水谷先輩!
お久しぶりです!』


『本当に久しぶりだね。
休みの間も元気だった?』


『はい!先輩もお元気でしたか?』


『うん!おかげさまで』


『ところで、そんなに急いで、何かあるの?』


『い、いえ…』


(まさか先輩にこんなに早く、しかも見つめるだけじゃなく、朝から一緒に登校できるなんて思ってなかった。まさか、先輩を一目でも早く見たくて急いでた、なんてとても言えない…)


< 106 / 317 >

この作品をシェア

pagetop