じれったい恋愛…~運命の人に気づくまで~

『ねぇ、どうしたの?泣かないで!』


こんな言葉をかけられたら、私の涙腺は崩壊しそう…。

必死でこらえたのに、肩が震えるほど、私は泣いてしまっていた。


『緑川さん、どうしたの?本当に大丈夫?
どっか痛い?』


(うん、胸が、胸がすごく痛い、苦しい…)


心の中ではそう叫んでいた。
でも、口にすることはできない。


『保健室に行く?』


伏したままで首を横に振る。


『泣かないで!』


心配してくれる彼の声が、どうしたらいいのか分からず困っているように聞こえた。

困らせたら、申し訳ない…。


私は手にハンカチを持ち、伏している自分の目にハンカチを当てる。

涙を拭いて、できる限りのつくり笑いをして顔を上げた。


『ごめんね、大丈夫!ありがとう!』


困ったように心配する彼。
彼を困らせたことが申し訳なかった。


何度も大丈夫!とつくり笑顔を見せて、何とかその場を乗りきった。

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