一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
実花子が慌てて訂正すると、高木がわざとらしく肩をすくめる。先生こそ、実花子と仲が良いと思われたら困るだろうに。
「おや、これはひょっとすると、ひょっとしますかねー」
白鳥までからかいはじめるのだから、本当に勘弁してほしい。
「すみませんが、お先に失礼させていただきます」
それは突然だった。拓海が箸を置き立ち上がる。
「おい、どうしたんだよ、拓海くん」
「ちょっと用事を思い出したものですから」
「え? こんな時間からなのかい?」
白鳥に返事もせずに小上がりで靴を履く。
「それじゃ、失礼します」
白鳥が引き留める隙もないほど、拓海はあまりにも事務的であっさりと店から出ていってしまった。
「荒療治が過ぎたか? いや、足りないのか?」
白鳥がボソボソ呟く。
「荒療治って?」
「あ、いや、こっちの話だ。すまんすまん」
尋ねた実花子に右手を大きく振り、「さぁ、気にせず飲んで食べようじゃないか」と白鳥は鶏団子を取り分けた。