必ず守るから、だから、笑って


「希愛、俺だって君を守りたいんだよ。この前言ったでしょ?」


「…私、晴葵に守られるほど弱くない」



「んー。まぁ、俺と希愛が喧嘩するなら俺が負けるだろうね。カッコ悪いけど。だけど、喧嘩に勝つだけが強いんじゃないよ。希愛は今心のどこかで助け求めてるでしょ?」


「……求めてない。私は1人でも強い」



「嘘だね。希愛、顔に出やすいの知らないでしょ?”助けて”って言ってよ」



「……っ」



そうだよ。
もう一人で抱え込むのは嫌だよ、本当は。


だけど、私がそうしたせいでまた誰かを傷つけたら?


少なくとも新堂は月霞に目をつけてるはずだ。



あいつの狙いは私なのに、私のせいで周りを巻き込むのはもう嫌だ。


蒼空みたいに。

そして、水煉みたいに、みんなの居場所を奪いたくない。


だから私の脆くて弱い心を動かないで。




私は自我を保てと、自分に言い聞かせるようにうつむきながら、自分の爪が食い込むほどの握り拳を作っていた。


多分、私は泣いている。


熱いものがこみあげてきているのが分かる。

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