君はロックなんか聴かない
静寂の歌
夏休みは終わり私たちは学校生活が始まっていた。何か心に穴が空いたようにただただ日々を過ごしていた。黒板を眺めていて雲を眺めていても冷めない葛藤が私の心を蝕んでいた。私は一体何がやりたいんだろうかため息が出る。才能が欲しい。
ライブ楽しかったな、またやりたい。皆すごかったな、久間君も花形君もそしてアイナも売れ線って感じ。悔しいけどぜんぜんレベルが違かった。動画の再生回数もすごい伸びてるようだし。同じクラスで普通に授業受けてのが不思議な感じだ。
ふと久間君の方に目を向けると真剣に板書していた。やっぱり普通の高校生なんだよなやはり不思議な感覚だ。あんなにステージでは輝いていたのに、いや今の彼に魅力がない訳では無いが迫力というか雄々しさに欠ける、それも良さでもあるのだが私はどうだろうステージの上では輝いていたのだろうかせめて一瞬でもいいから光っていたいものだ。私たちも動画をアップするのはどうだろうどんなにいい曲を作っても知名度がないと意味がない。
「文化祭バンドやるんでしょ?」
久間君が声をかけて来た。
「え?」
「10月にある文化祭で何組か演奏できるらしいよ」
「え、そうなんだ、久間君達は出るの?」
「うん、俺たちは出るつもりだよ」
「そうなんだ、アイナはどうするんだろう?」
「え、どうなんだろう、でもあんまりうまくいって無いらしいよ」
「え、あ、そうなんだ」
「気になってるんだね」
「え、ああ、うん」
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