【完】溺愛したいのは、キミだけ。
そうだ。お姉ちゃんはその日ライブがあるから無理なんだ。


となると……。


「あ、そっか。コトちゃんはライブ行くんだった! それじゃ、ヒナちゃんお願い! ダメかな?」


美羽が両手合わせ、上目遣いで懇願してくる。


だけど、私はさすがに即OKというわけにはいかなかった。


だって……。


「えぇっ! ちょ、ちょっと待って。代わってあげたいのは山々だけど、それ、可愛い子しか選ばれないんでしょ? 無理だよっ」


そう。条件が条件なだけに、引き受ける自信がない。


だけど美羽は遠慮する私の腕をギュッと掴むと。


「そんなことない! ヒナちゃんだって可愛いんだから大丈夫だよ!」


「む、無理だって。私なんかがやったら、場違いだからっ……!」


「そうかなぁ? 雛乃は可愛いよ。色白で目もパッチリしてるし、細くてスタイルもいいし」


さらっとお姉ちゃんまで同意してくる。


「そ、そんなわけな……っ」


「そうそう! 当日は私がメイクとヘアセットしてあげるから。人助けだと思って、ねっ? お願い!」


再びウルウルした瞳でお願いされて、黙り込む私。


人助け……か。そう言われてしまうと、やっぱり断れないなぁ。


「……わ、わかった。いいよ」


そして結局、私はそのお願いをしぶしぶ引き受けることにした。


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