【完】溺愛したいのは、キミだけ。
気が付けば、言葉にするより先に、彼女の薄桃色の唇にそっと口づけていた。


今度こそ、俺の気持ちに気付けばいいと思って。


だけど彼女は、次の瞬間驚いたように俺を見上げ顔を真っ赤にしたかと思うと、それから俺の胸を勢いよく突き飛ばし、逃げるように帰っていってしまった。


それを見た瞬間、自分はとんでもない勘違いをしていたんじゃないかってハッとして、ものすごい後悔に襲われた。


俺はバカだったのかもしれない。


どこかでヒナも俺と同じ気持ちなんじゃないかって思ってたんだ。


でも、そうじゃなかったってことだろ。


もしかしたらそんなのは俺のただのうぬぼれで、最初から一方通行だったのかもしれないよな。


だとしたら俺は、ますます嫌われるようなことをしてしまったのかもしれない。


それ以来ヒナとは話してない。


無理やりキスした罪悪感もあったし、自分からもなんて声をかけたらいいかわからなくなってしまった。


ついこの間まで、あんなに楽しく笑い合えていたのに。


俺の言葉で赤くなったり照れたりするヒナは、まるで俺のことを好きでいてくれてるかのように見えたのに。


どうしてこんなことになってしまったんだろう。


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