【完】溺愛したいのは、キミだけ。

*とんだ誤算【玲side】

『か、帰るっ!』


そう言って逃げるように去っていった彼女の背中を見つめながら、俺は呆然と立ち尽くしていた。


マジかよ。そんな勘違いあるかよって。


遠回しに告白したつもりが、まさかそれで誤解されて、拒絶されることになるとは思わなかった。


バカだな、俺。余計なこと言うんじゃなかった。


『好きな人とかって、いるの?』


琴梨にそう聞かれた時、俺は迷わず『いるよ』って返したけど、鈍感すぎる彼女に、少しでも感づいてほしいなんてことを思ってしまった。


俺のことをもっと意識してほしくて。


あののど飴をもらった時に一目ぼれしたなんて話を本人にしたら、もう完全に好きだって言ってるようなもんだけど、それくらい言わないと鈍感な琴梨は気づかないと思ったから。


俺としては、遠回しに告白したつもりだった。ここまで言えばさすがに気づくだろって。


でも、残念ながら遠回しすぎて、全然伝わってなかったらしい。


まさか、向こうがのど飴を俺にあげたこと自体、まったく覚えてなかったなんて……。



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