【完】溺愛したいのは、キミだけ。

*彼氏が欲しい

「はぁ……。やっぱり羨ましいなぁ」


夏休みも終わり、新学期が始まったばかりのある日のこと。


幼なじみの颯希(さつき)の部屋のベッドに座ったまま独り言のように呟いたら、颯希が不思議そうな顔で突っ込んできた。


「羨ましいって、何が?」


「……彼氏が」


私がそう答えると、颯希は驚いたように目を見開いて。


「はっ? 彼氏!?」


「うん。だって、コトちゃんもヒナちゃんも立て続けに彼氏ができたのに、私だけいまだに彼氏がいないんだもん」


「あぁ、そういうことか」


「二人とも幸せそうで羨ましいよ~!」



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