【完】溺愛したいのは、キミだけ。
そう言って私の手をそっと握ってきた颯希の顔は少し赤くなってる。


さっきまでの強引だった彼は何だったんだろうって思うくらいに。


でも、いつもの颯希だ。


そう思ったら思わず笑みがこぼれた。


「ふ、あははっ」


「……っ、なんで笑うんだよ」


「だって、やっぱり颯希は颯希だなぁって」


そうやって、結局は素直に反省して謝ってくれるところ、颯希らしいなぁって。


根が優しいんだよね、やっぱり。


「……いいよ。べつに私、怒ってないよ」


ボソッとそう口にしながら颯希のことを見上げたら、彼はホッとしたような顔でこちらを見た。



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