【完】溺愛したいのは、キミだけ。
すると美羽はそんな私を見ながらフフッと笑って。


「やっぱりね~。最近ヒナちゃん急に可愛くなったから、なんか変だと思ってたんだよね。そっかそっかー。翠先輩のこと気になってるのか~」


「……っ! いや、私はその……」


あぁ、ダメ。やっぱり美羽には全部お見通しなのかも。


でも、気になってるのは本当だからなぁ。


「いいのいいの! 照れなくて。むしろ、私はとっても嬉しいんだよ。ヒナちゃんがようやく恋する気になってくれて。私、応援してるから!」


「美羽……」


「あ、そうだ! 明日からヒナちゃんもメイクしていこうよ!」


「えっ、メイク?」


「うん。だって、少しでも可愛いって思ってもらいたいでしょ? メイクしたらきっと、翠先輩も喜ぶよっ」


そんなふうに言われたら、ちょっと考えてしまう。


あのイベントの時みたいにメイクして行ったら、翠くんは可愛いって思ってくれるのかな。


今まで、自分にはメイクなんて似合わないし、しなくてもいいって思ってたのに。


少しでもかわいくなりたいなんて思っている自分がいるんだ。


不思議だよね……。


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