平凡な私の獣騎士団もふもふライフ
そんな混乱の独り言が聞こえて、リズは疑問に思った。

その時、ジェドが一気に緊張が解けたような溜息を吐いた。やや疲れたようにして夜空色のような髪をかき上げ「この二人ならありうるか……」と呟く。

「事情は分かった。次は気を付けろ」

こちらに向かってそう口にしたかと思うと、続いて彼はコーマックを目に留めた。

「コーマック」

「えっ――あ、はい!」

「留守を任せていたお前を誤解して、すまなかった。行くぞ」

軍服のロングジャケットの裾を揺らして、ジェドが建物へ向かって歩き出す。

コーマックが「あの団長が謝った……」とめちゃくちゃ困惑顔で、その後ろに続いた。彼の相棒獣が、ひらりと軽やかな動きで後を追う。

残されたリズは、彼らの後ろ姿が離れて行くのを見ていた。

「なんだったのかしら……」

ふと、サクサクと芝生を踏み締める音を聞いて目を向けた。やってきたカルロと視線を合わせ、やや間を置いて「あ」と思い出す。

「カルロ、あなた副団長様の相棒獣を踏んだりしてはだめよ」

そう言ったところで、ふと気付いて考えた。

「窓を叩いて団長様を呼んだ? それくらいには信頼関係がある、のかしら?」

でも一体、いつの間に?

首を捻っているリズの前で、すとんっとカルロが『お座り』した。全く呆れる、そう言わんばかりの顰め面で「ふんっ」と鼻を鳴らしたのだった。
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