君とみたあの夏の流星群。

優しいキス

■■■

【星祈side】


『……祈……星祈』


聞きなれた声が私の名前を呼ぶ。


私、この声好きだなぁ。


ずっと、聞いていたい。


まだ、眠いなと思いながらウトウトとし始めると……
今度は、はっきりと聞こえてくる。


「星祈……」


切なそうな声で私の名前を呼ぶ。


パチッと目を開ければ、ベッドの脇にある椅子に座っている人と目が合う。


「……あ、おと?」


「うん、俺だよ。星祈」


碧都は、優しい顔をしてニコッと微笑んだ。


私は、碧都が病室にいることに驚きながら、慌ててベッドから起き上がって、碧都の方を見る。


「何で、碧都がここに?」


だって、碧都は私が入院してることを知らないはず。


「ごめん。俺がおばさんから強引に聞いた」

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