きみは俺だけの彼女


「オススメはご当地ラーメンだってよ」

空人が見ていた大きめのパネルを見る。
俺はなんだっていいや。



「美味そうだな。俺はこのラーメンにする」

別にラーメンが好きというわけでもなく、さっさと決めて席を確保してこようとしたのだが。



「嶋村くんはこれにするの?じゃあ私も同じのにする」

真横に来て同じパネルを見て微笑みながら"同じのにする"なんて可愛いこと言われたらマジで抱きしめたくなる。



「雪姫と嶋村はラーメンね。じゃあ……」


と、空人が確認したので席を確保してこようとした。


「じゃあ私、席取ってくるね」



雪姫がそう言って先に振り返った時。

前を見ずに話しながら歩いてきた集団がいた。


思わず手が出た。

「雪姫、危ない」

雪姫の前に腕を出して肩を掴んで引き寄せて静止させた。


……単に抱き寄せたかっただけだが。


「あ、ありがとう」

お礼を言いながら照れて俯いた雪姫を、そのまま抱き占めなかったことだけは誉めてほしい。



こんなに嬉しくて気分が高まる旅行だと逆に自分の欲望を抑え込むほうが大変そうだと今更ながら思った。



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