マシュマロベイビー









「萌ーっ!」



後ろからアラタの大きな声がした。



え?



振り返る萌に



「萌!」



アラタがまた叫ぶ。



「今日メッチャ楽しかったなー!」



萌の視界に



あの笑顔のアラタがうつる。



「また、遊ぼーな!」



アラタが向こうで手を振る。



遅れたように、横でコウタが



ブンブン手を振って、



しょうがないように



(そう)ちゃんまで軽く手を挙げた。




「またなーっ」



無くなった目で



大きく口角を上げた口で



アラタが叫ぶ。



どきんどきん。



アラタが呼ぶ



〝萌〝は



いつもの私の名前じゃないみたいに



特別に、きこえた。



何でか、自分の鼓動が早くて



胸があつい。



アラタはいつも



萌の気持ちがわかるみたいに、



萌の手を引っ張りあげてくれるみたいに



〝嬉しい気持ち〝をくれる。



アラタに会って



アラタとトモダチになれて




大げさだって言われちゃうかもしれないけど



わたしの世界は変わったみたいだよ。



だって、こんな気持ち




初めてだもん。



日が落ちて



赤く染まった空。



そこはかとなく、何だか悲しいのに




きれいな



その空を背に



手を振ってくれるみんなに



ブンブンっ。




萌も手を振った。




「またねーっっ」




わたし、


アラタくん大好き。



…トモダチとして。



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