幼女総長と不良たち
目の前に出された3種類のリンゴに、私はどれから食べようか少し迷ってウサギ型を取った。
いや、やっぱりリンゴ型にしよう!
ウサギ型は皮がついてるから嫌だ。
リンゴをシャリシャリ食べていると今度は
里桜が緑茶を入れてくれた。
熱いからと氷を入れて冷ましてくれ、残ったウサギ型は里桜が全部食べてくれた。
「ほら手がベタベタじゃねぇか。手出してみ?」
両手を出すと濡れ布巾で拭いてくれ、拭きながら私の顔をじっと見る。
「・・・なんでしゅか??」
「いや、織果にそっくりだなと思って。
さすがハーフ、綺麗な顔してんなー。」
「・・・え、いやだから、私が織果でしてね、」
弁解をしようとすると突然里桜の顔が赤くパアッと染まる。
「いや違う!!今のは違うぞ!!
織果が綺麗だとかそういうこと言ってんじゃねぇからな?!!!」
「・・・・・・」
勝手に里桜劇場繰り広げるのは止めて頂きたい。
もうどうでもよくなり、私はまたさっきの歌番組に目をやった。
「・・・・・・」
里桜の視線が私の横顔をじーっと見ているのが分かる。
この人、なんで帰らないのかな・・・
リンゴご馳走になっておいてなんだけど、
さっさと帰ればいいのに・・・・
暫くしてきまずい空気に耐えきれなくなったのか、里桜が立ち上がる。
「・・・・じゃあ、俺はそろそろ帰っから。
ちゃんと戸締まりして織果帰るの待ってるんだぞ?」
「・・・・・」
再び庭の窓を開けると、里桜がサッと塀を乗り越え帰って行った。