幼女総長と不良たち
斗和を見ると"セフレ"の言葉に特に動揺する素振りもなく、
というか動揺しているのは私なのだけれど。
「・・・いや、俺は付き合ってると思ってるから・・・。」
「ふ、ふぅん・・・。」
普通でない身体の関係でこじらせ愛とかやめて欲しい。
頭の中がピンクにパンクする。
「・・・・今女王の頭の中にはきっと不思議が飛び交ってるよね・・・・。」
「・・・・う、うん。」
まさか大人しそうな斗和に"女王"と呼ばれるなんて思いもよらなかった。
「・・・・あのね、」
斗和がお皿と箸を置き、私に説明する体勢を整えくれた。
呼吸も落ち着かせて。
「俺は上半身は男のはず・・・なんだけど、
下に本来あるべきものが付いてないんだよ・・・・。」
「・・・・・・」
はい絶句。
「・・・俺もヴァンパイアだからね。
産まれた時から付いてなかったんだ。
性別に悩んだこともあったけど、蘭に出会って俺は男でいようと決めたんだよ・・・。」
こんな偶然で必然的な出会いがあってたまるか。
つまり目の前の2人は凹凸の関係であると。。
私が口を開いたまま瞬きを何度かしていると凌久がテーブルのお茶を取り、私にストローを咥えさせてくれた。
「落ち着け。」
何故私の頭の中が落ち着いていないと分かったのだろう。
「・・・斗和は、たまたま私と身体の相性が合うから好きだと錯覚してるだけよ。
お互い正常な身体の男女だったら絶対好きになんてなってないと思うもん。」
「・・・そんな仮定の話を持ち出してくる蘭も俺は好き・・・。」
斗和が真っ直ぐに蘭を見ると、蘭の顔が少し染まった気がした。
照れ隠しなのか、蘭がまた"あーん"と目をつむり、斗和に生春巻を要求した。