諦めた心

総合病院につくと
山口院長先生と曽我屋先生は、
がっちり握手をして
俺達を紹介してくれた。

山口院長は、
「娘さんは、幸運でした。
こいつにみつけられて。
きっと、大丈夫ですよ。」
と、言ってもらえた。

一華は、軽く検査にはいる。
曽我屋先生も立ち会ってくれた。

検査結果を母と聞く。

①体のあちこちの傷は完治に向かっている。
②脳にも問題はない。
③脾臓も綺麗に回復している。
④背中とお腹の大きな傷は
 将来的に本人が綺麗にしたい 
 と言えば行います。
 まだ、少し完治にかかります。
⑤左手は、まだ、固定のままです。
⑥左足の3趾、4趾、5趾は綺麗です。
 他に壊死しているところは
 ありません。
 今後歩行に問題がある場合杖を使います。

「これは、今回の事故に関係ないかと
思いますが
お嬢さんの卵巣の一つは
機能していません。
もう一つは、問題ありませんが·····

一華さんが、目覚めるように
力をあわせて
頑張っていきましょう。」
と、山口院長は言った。

母は、
「一華はこの先
子供に巡り会えますか?」
と、訊ねると
山口院長は、
「出来にくい可能性もありますが
できないとは、言いきれません。」
と、言ってもらえて
少しほっとしていた。

俺は、島に帰る曽我屋先生を
玄関まで贈りながら
「先生、一華は目覚めたくないから
起きないのではないでしょうか?

父のこと、好きだった恋人の言葉
俺達への贖罪が
大きな負担となっていて

目覚めて、自分の身体を知って
一華が辛い思いをするなら
俺は、このままでも
と、思ってしまいます。」
と、言うと
「もっともな意見だと思いますよ。

だけど、このままですと
確実に妹さんの身体は弱って行き
死は免れません。
辛い思いを残したまま逝かせるか
起こして力の有る限り
守り抜くかです。

私は、こんなに若くて
可愛いお嬢さんに生きて欲しい。

生きて乗りきって笑って欲しい
そう思います。

焦らずに、気長にいきましょう。

今からの戦いは長く厳しいです。
山口や私をいつでも頼ってください。
出来る限り動きます。」
と、言って貰い
先生と握手をして
お礼を言ってわかれた。
< 16 / 49 >

この作品をシェア

pagetop