Bed scene stories #01
時間がない。いつものあなたの口癖だ。そんなことはわざわざ口にしなくてもわかっているつもり。最近は時間がないと言われるたびに気持ちがささくれしまい、だったらこんなこと全部やめてしませばいいと怒鳴りたくなる。

時間なんて気持ち次第で何とでもなる。二人だけの貴重な時間を、たとえ短い時間だとしても幸せだと感じられるならそれでも構わないのに、あなたは気づかない。

付き合い始めたばかりの頃は優しかった。いつもまでもきみと一緒にいたいなんて甘い声で囁かれ、家庭のあるあなたにはそんなことは不可能なのに、わたしを喜ばせたいだけの、その場だけの嘘とわかっていても嬉しかった。

それが今は・・・。

所詮はあなたも他の男と同じ。男の本能を解き放つ相手が欲しいだけで、それはわたしでなくても構わなかったはず。何度も失敗しているのに、セックスを恋と勘違いしたわたしも懲りない馬鹿な女だ。

「ネクタイが曲がっているわ」
「あ。そうか。ありがとう」

何が"ありがとう"よ。



- End -
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