キミのことが好きすぎて
8.冷たい手とあたたかい背中



「いってきまーす」



元気よく玄関の扉を開け、外に出た。

1月の冷たい風が、洋服から出ている素肌の部分を刺していく。


自然と身体が強ばり、ブルっと震えた。


久しぶりの制服は、クリーニングに出したおかげで綺麗になっている。


1年生の最終学期ーー。

また学校が始まるのかと思うと憂鬱だけれど、悠真先輩に会えるという事だけが唯一の楽しみだ。


唐揚げを食べてもらった日以降、私は連絡を取っていなかったけれど、今日は絶対に会うんだ。

そう決めている。

連絡をしなかったのは、悠真先輩から何も来なかったのもあるけれど、私が躊躇してしまったせいでもある。


だって、“また作って”だよ?そんなことを言われたら、次会う時には、もっと美味しいものを作ろうって思うに決まっている。


私は新学期初日にしては多い荷物に目を向けた。

そこには、ふたつのお弁当箱が入っている。

もちろん、2つ目のお弁当は悠真先輩の為のものだ。

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