蜜月身ごもり婚~クールな旦那様のとろ甘な愛に溺れそうです~【華麗なる結婚シリーズ】

鏡花だって確実に被害者だろう。小さいころから慕い、将来結婚すると思っていた真翔が、いきなり結婚をすると聞かされ、それならば仕方がないからこっちにしなさい。

野菜を選ぶように自分の結婚を決められるなんて、本当なら我慢できないだろう。
姉の薫子のように自分の主張をすべて通すような人間ならよかっただろうに。

そんなことを思いながら、俺は小さくため息を付く。
そして追い打ちを掛けるように、その相手が俺みたいな嫌いな男だなんて。

昔の面影は少しだけあるだろうか。お茶会や集まりなどではいつも着物を着て、静かで声も聴くことすらない鏡花。

それが俺と結婚するという言葉をいうのは、どれだけ勇気がいったのだろう。
それが解っているのに、俺は鏡花に優しい言葉をかけてやることが出来なかった。

真翔の為。そう思うと苛立ちが募った。

ずっと、忘れかけていた“俺の大切な可愛いお姫様”そんなことを思っていた気持ちを思い出した。

小さいころから鏡花は真翔のもの。
真翔のことが好きな鏡花の幸せが俺の望みだったのに。
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