寂しい姫と不器用王子

――少子高齢化が進むのに歯止めを!!

同居制の学生寮を作ります!――


そんな変な寮に入ってしまった俺は、未だ誰とも同居に至っていない。

なんだかんだ、1年1人で暮らしてしまった。

まずなんなんだよ、女子生徒と同居する寮って。

新しいもの好きの親に入れられて、仕方なく住んだけど、女子生徒は部屋に一度も入れたことはない。

だけど今、ピンチが目の前で訪れている。

まだ一度も部屋に女子生徒を入れたことのない男子生徒が、抽選でランダムに女子生徒を入れなきゃいけないらしい。その抽選会に今来ている。

俺の平和な時間が…。


「はいじゃあ次、君ね」

「あぁ…はい」

タブレットの適当な数字をタップする。
そこには、原山姫莉という名前が表示される。

部屋に戻り、少しするとチャイムが鳴る。

ドアを開けると、伏目がちなやたら可愛らしい女子生徒がいる。


「原山姫莉です。お世話になります」

「ああ…えっと、羽村駿です。よろしく」


俺も軽くぺこりと頭を下げた。

大きな荷物を持っていたため、


「持つか?」


と言うが、大丈夫ですとばかりに首を振る。

人形みたいな子だな、そう思った。

可愛らしく作られて、ただそれだけで表情は動かない。


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