寂しい姫と不器用王子
「彼氏いるのに、こんな寮いていいのかよ」
「え…?」
「とっとと出て行けよ」
「なんで…」
「出て行けって!」
姫莉は怯んでいた。
「そんなつもりじゃ…」
「じゃあ何?どういうつもりでこの寮いるんだよ」
「…双子の兄がこの寮にいて、私も入れられただけです」
…ん?双子の兄?
姫莉はポケットからスマホを出して、写真を見せてきた。
「原山陽太、双子の兄です」
俺はポカンだ。昼に見た、高身長のイケメンで間違いない。
「え、あっ…昼に見たの、兄貴かよ」
「昼?」
「昼休みに外眺めてたら姫莉と、仲睦まじく歩いてる男がいたから、てっきり彼氏かと」
「似てないので、よく言われますね」
撃沈…。
「マジでごめん、忘れて」
顔を覆うしかなかった。
なんで俺、こんなマジになったんだろ…。
そう思っていると、部屋のチャイムが鳴る。
姫莉が出る。
誰だ?
「姫莉ー、来たよ!!」
「陽太ー!」
なんだろう、勝手に気まずいから1番今会いたくないんだけど。
「あ!例のイケメン同居人さんですか?」
「イケメンかは知らんが、姫莉の同居人だな、うん」
「姫莉がお世話になってます!」
「まだ、1日だけどな、うん」
てか待てよ、姫莉にイケメンって紹介されてたのか?
素直に嬉しい。