わたしにしか見えない君に、恋をした。
心がちくっと痛む。

湊まであざむいているような罪悪感。

あたしはいつまでこうやって生きて行かないといけないんだろう。

どうしたら変われるんだろう。

こんな自分が嫌で嫌で仕方がないのに、それを変えることができない。

みんなの顔色を伺って、嫌われないように気を遣って話を合わせて自分の意見を抑え込んで。

そんなんでいいの?って自分自身に何度問いかけてみても答えがでない。

ううん、答えなんてとっくの昔に出ているんだ。

だけどそれを認めたくなくて気付かないふりをしてる。

結局、あたしは弱虫なんだ。

だから、サエコとナナに嫌われたくない一心で明子にリレーの選手を押し付けた。

誰だって自分が一番かわいい。

だけど、自分の為に誰かを犠牲にしていいはずがない。

誰かの犠牲の上に成り立つ幸せなんていらない。

あたしは恐る恐る口を開いた。
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