わたしにしか見えない君に、恋をした。

「湊は……さ、誰かに嫌われるのって怖くない?居場所がなくなったら嫌だって思わない?」

「んー、まぁちょっとは怖いかもな。でも、全員に好かれるのなんて無理じゃん」

「うん……」

確かに全員に好きでいてもらうのなんて無理だ。頭では分かってる。

「自分の居場所があったら確かに嬉しいかもな。安心もする。でも、なかったらつくればいいし」

「つくる……?」

「今、流奈がいる場所は本当に流奈の居場所なのか?誰かに無理して合わせて、自分を押し殺している場所が流奈にとっては心地のいい居場所?」

あたしが今いる場所。

そこはきっと、あたしの居場所ではない。

分かってた。ずっと分かっていたけど目を反らしていた。

そこにしかあたしという存在を受け入れてくれる場所はないと思っていたから。

「違う……。心地よくなんてない」

サエコとナナは明子をハブって、明子の悪口を言って、明子を傷付ける。

そんな二人といて心地がいいわけがない。

「だったら、自分でつくればいいじゃん。ありのままの流奈でいられる居場所を」

「ありのままのあたし……?」

「そう。でもさ、結局はどこに居場所をつくるかじゃなくて、そこにで何をするかだろ」

「何をするか……」

「すべて流奈次第ってこと。俺に言うみたいに思ったことを口に出せって。誰かに今みたいに弱さとか本音をさらけ出していいんだって。自分一人で抱え込むなよ」

「うん……」

「声に出せば伝わることもある」

湊の言葉がストンっと胸の中に落ちてくる。

だけど。じゃあ、どうする?

どうすればいい……?

あたしは――。

「話聞いてくれてありがとう」

「頑張れ、流奈」

湊にお礼を言うと、あたしを励ますようにポンポンッと頭を優しく叩いた


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