絆され、みだされ、惑わされ
*
……あったかい。
体が温もりに包まれている感じがして、目が覚めた。
こんなに暖かいのはいつぶりだろう。
心地良くて、このまままた微睡の中に沈んでいこうとしたけど。
その温もりが、すう、と離れた。
やだ……っ、いかないで。
ほとんど条件反射だった。
ぎゅっ、とその温もりに抱きつくようにしがみついて。
……その、瞬間。
「────へぇ。意外と大胆なんだね」
声がした。
それも、よく聞いてる声。
頭の中に霞がかかったものが徐々に晴れていく。
まだ寝てたいけど……ゆっくりと、本能に従って目蓋を開けた。
すると。
「おはよ、弥代さん」
最早神々しいくらいに整った顔が、目の前にデンっと存在していた。