居候同期とフクザツな恋事情


ずるいな。そんなふうに訊かれて、ダメだなんて言えるはずもないのに。

紡がれた言葉以上の何かを期待しちゃうのに。


「いいよ」

ぼそりと返したら、イオが嬉しそうにぱっと破顔した。

ドクンと胸をときめかせた私のことを、イオが飛びつくみたいに抱きしめてくる。


「ありがとう」

耳元で弾けたイオの声に、胸が震えた。

これは私、自惚れてもいいのかな。

イオも私と一緒にいたいと思ってくれてるって。私のこと、少しくらいは好きだって。

どうしよう。めちゃくちゃ嬉しい。

昂る感情が抑え切れない。

気付けばイオの背中に腕を回して、私のほうが強く彼のことを抱きしめていた。


「おかえり、イオ。早く会いたかった」

「何それ。メェちゃん、それはズルい」

イオが、頭をすり寄せた私の肩をつかんで引き離す。

暗がりの中でもわかるくらいに顔を赤くしているイオを見上げたら、イオが顔を逸らしながら私の目を手のひらで覆った。


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