居候同期とフクザツな恋事情



「うち、戻ろっか」

遠慮がちに声をかけたら、イオが一拍ほど置いてからコクンと頭を下げる。

だけど、うつむいたイオはそのまま静止してしまった。

仕方なく、立ち止まって動かなくなってしまったイオの手をつかむ。


「戻ろ」

そっと手をひいたら、イオが私の手を確かめるようにゆるく握る。

その手のひらは私よりずっと大きいのに、なんだかとても心許なかった。


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