復讐の華

「何かあったのか?」


女との一件があってからというもの、來は私を溺愛するかのように気遣うようになった。


まず1人では下校させない。本当は登校のときも付き添いたいみたいだけど、それは断固拒否した。


そこまで一緒にいられたら息が詰まる。


「何も無いよ。晟也と偶然会っただけ」


既に表情を戻した私に、來は安心したように一瞬笑う。


「で、アイツは?」


「また女の子のところだって」


「相変わらずだな」


学校を出て倉庫へ向かいながら、2人でそんな何でもない話をしていた。


小谷沙耶よりもタチが悪い偽りの姫として、水憐と関わっているのに。


普通の会話。普通の笑顔。


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