普結くんは、桃にイジワル。
「…まあ何よ、
あたしに言えることはひとつだけね。
男は星の数ほどいるわよ…。」
「…っ、そうだよねっ!
あたしこれからは振り回される女じゃなくて振り回す女目指す!」
拳を握って決意表明をしていると、
なんだかやたらと冷たい視線を感じた。
「何よ普結くん」
「いや別に?
振り回す女、ねぇ」
そう言って鼻で笑う顔は、一切あたしを見ないで俯いたまま。
手元にある文庫本に視線は注がれていた。
「…なんなのよその馬鹿にした笑いは」
「本が面白かったから笑ったんだよ?
誰も朝っぱらから彼氏に振られただのなんだの悲劇のヒロイン気取りの八宏さんの事なんて笑ってないよ?」
そう言って涼しい顔をしたその男は、
文庫本を閉じた。
「…今の言い方超腹立つ…」
「静かに本読んでるとさあ、嫌でも聞こえてくるんだよね。
彼氏に振られたーつらいーとかどーーーーでもいい事喚いてる雑音がさぁ」
「……………」