きみと秘密を作る夜
絶対に。

力強い言葉に、私もうなづく。



「うん。でもちょっと心配だから、帰りに神社でお参りして行こうよ! 神頼み! ね?」


言って、私は晴人の手を離した。

善は急げだとばかりに、きびすを返す。



「あ、おい! 里菜子! 待てって! 走ったら」


危ない、という言葉を聞き終わる前に、ぬかるみに足を取られた。


「あっ」と、声を漏らした時には遅かった。

体勢を崩したそのままに、私は斜面を転がり落ちる。



上下左右がスローモーションのように入れ替わり、最後にドサッという音がして、体中に強烈な痛みが走った。



「里菜子! おい、里菜子!」


上から晴人の声が響く。

私の体は斜面の中腹で止まっていた。



「晴……」


助けてと言いたかったのに、上手く声が出せなかった。

息をするだけでも精一杯だ。


痛みで指の一本も動かせない。



「里菜子!? 大丈夫か!? 起きられるか!? すぐそっち行くから!」


晴人の大声が真っ暗な森の中に響く。

何か言わなくちゃ、と、思っているはずなのに、どんどん体が重くなる。


目を閉じたまま、私の意識は暗転した。

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