きっと、月が綺麗な夜に。
「とりあえず、難しいことは一旦やめて流しそうめんやろ!皆、手伝って!」


このまま行くと均衡状態が続きそうだな、なんて、クロミや友達野良達の鳴き声を聞きながら眺めていると、その均衡を破ったのはりょーちゃんで。

そのりょーちゃんの号令に「はーい」と素直に従った美矢は、素麺を茹でるための準備へとサクッと立ち上がってしまった。


「さて」と立ち上がった僕も、流しそうめん用の竹の準備の手伝いへ。ケンゴも消化不良そうな顔で黙って立ち上がった。


「そういえば、美矢に恋してますってモードが切れちゃったのが何でか聞いたらダメ?やっぱり、クリエイター魂燃えちゃったからとか?」


思い立って、美矢が離れているうちに聞いておきたかったことをケンゴに尋ねてみる。

すると、ケンゴはじとっと、呆れたような視線を僕に向けて、何だか痒そうな顔で口をうにゃうにゃさせた。


「え、何、その顔」

「こじろうって大人のくせにばか。あんな弾き語り聴いたら、俺のそういう陳腐な感情なんかすん、て感じだわ」


最近、美矢にもケンゴにも『ばか』って言われてるな。僕、一応先生なんだけどな。
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