小説家の妻が溺愛している夫をネタにしてるのがバレまして…
バレてはいけないヒミツ
終わりだと思った。


「これ、詩乃ちゃんが書いた小説?」

「うっ……」

「………この小説に出てくる男……衣玖斗(いくと)って僕のこと?」


溺愛している夫【沖崎 郁人】をエッチな小説のネタにしていることがバレました。





《胸部の膨らみの頂きに勃つ蕾に優しく衣玖斗は吸い付く。体の内側から込み上げてくる熱に酔いしれて、衣玖斗の頭を抱きしめ包み込むと、彼は意地悪そうに微笑んで更に激しく舌先で転がし始めた。》


「………うわぁ…いいな…いいな…!郁人くんにされたいぃ…!」


気づけば口走っていた言葉だった。
こんなこと、郁人くんがするはずないって気づいているのに望まずにはいられない。


実の夫をモデルにし、妄想ばかりを詰め込んだ色もの小説は幅広い年齢層からの支持を得ていた。


胸キュン、エロキュン、泣ける、笑える。


感想や共感を貰うのが嬉しくて止まくて、気づけば辿り着いた人気恋愛小説家の称号。


(現実はそんな甘くないのにね)


パソコンの液晶ばかりを見つめ、眼が疲れてPCメガネを取り外した。
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