直球すぎです、成瀬くん



……トークを開いてしまった以上、気づきませんでした、では到底言いわけにならない……


……それに、今すぐって、何か急ぎの用件でもあるのかもしれない…

………お、怒らせると、絶対怖いし…………


私は意を決して、3人のもとへ向かった。



「……あれ、柚、お弁当は?」


手ぶらでやって来た私を、不思議そうに見上げる玲可ちゃん。


「珍しい、今日は購買?」

「…っあ、と、そうじゃ、なくて…」

「ん?」

「ちょ、っと、急用を……先生に、呼ばれてたのを思い出して……」



わ、我ながら、苦し紛れすぎる………


…今のは完全に、意識的に嘘をついている……

だってここで正直に、成瀬くんに呼び出されたと言ったら、それこそみんなに余計な心配をかけてしまうかもしれない…


だからこう言うしかない、と思っていざ口にしてみたけれど……嘘をついているのを意識すると途端に、あまりのぎこちなさに、今すぐに走って逃げてしまいたくなった。



「……そっか。時間、大丈夫?」


最初に口を開いたのは百叶だった。


「…そうじゃん、急がなくていいの?」

「あたしたち、ゆ〜っくり食べて待ってるから、早く行っておいでよ!」

「え……」


返ってきた言葉は、予想だにしていないものだった。


「早く済まして帰っておいで〜」


ぽん、と私の背中を軽く叩いたまりなちゃんに促され、3人の顔を順に見た。


「…あ、ありがとう……ごめんね、行ってきます」


お礼を告げると、私は急いで物置へと向かった。





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