直球すぎです、成瀬くん
……え、えっ、え?同じクラス…………!?
ほ、本当に、昨日の人だよね………?
信じがたいけれど……無造作に整えられた短髪、一瞬だけ見てわずかに覚えている切れ長の眼は、きっとそう…あの人は、昨日のあの人だ………
少しずつ心を落ち着かせて、私は昨日の会話を1つずつ思い出していった。
ーーー『…同じクラス?』
……って、今思い返したら、そんなこと聞かれてた気がする…………
咄嗟に目を逸らしてやり過ごそうとしていたから必死になっていて、声をかけられたことだけで焦って、何て話しかけられたかなんて全然聞こえていなかった。
『いたよな、前の方に固まってた女子ん中に。すげー周りの顔色ばっか気にしてるやついんなと思ってた』
と同時に、どう返すのが正解だったのか未だにわからないあの言葉も蘇ってきた。
「…柚?どした?」
「……えっ?」
そんなことを考えていたら、いつの間にか私の目線は自分のつま先へ。
それを気にした百叶が、心配したように私の顔を覗き込んでいた。
「あっ、な、何でもないよ!ごめんね」
私は笑顔を作り、その前で両手を振った。
びっくりした、けど………昨日のあの人は、同じクラスだ…
放課後、謝りに行こう、昨日のこと………
その時、授業の開始を知らせるチャイムが鳴った。
「はいじゃあ始めまーす」
少し騒がしい教室内に聞こえるよう、先生は声を張った。
「じゃあ、またね」
うん、と返して私は自分の席へ戻った。
「この時間は、2週間後にある学年交流会について、説明とか諸々します」
学年交流会………って、何するんだろう……?
そのワードについ首を傾げた私と同じことを思ったのか、誰かが「えー?」と声を上げた。
ハイじゃあプリント配るから後ろ回してー、と先生がホチキス留めされた数枚のプリントの束を手にした。
回ってきたプリントの1番上には〝学年交流会〟の文字。
それを見ながら、先生の説明を静かに聞いた。